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アープは断然、ライブがいい。
Vol.1 : ワンマンライブ Life Palette -運命-

「ああ、終わっちゃう・・・」
最終曲、『Reborn』を残し、あん朱はステージ上でそう呟いた。

きっと、会場の誰もがそう思っただろう。
arpは新しい一歩を大きく踏み出した。


[2006/7/9 LifePalette-運命-
@渋谷duo Music Exchange]

Op.forest
1.優しくなりたい
2.愛をしよう
3.Nevermore
4.恋煩い
5.夕立
6.まぶた
7.横顔
8.ウレシ泣キ
9.Shiver
10.運命(Instrumental)
11.Starlight Stardust
12.キラリ
13.My Love is Here
14.Everything is Beautiful
15.満月
16.Reborn
Encore1.幸せであるように
Encore2.桜
前回のワンマンライブLife Palette 〜鼓動〜 より4ヶ月。その間数回のライブを行うと共に、arpは今回のワンマンライブ、「Life Palette 〜運命〜」を創り上げてきた。
今回は、アコースティックギター、ヴァイオリン、ビオラ、チェロを迎え、六人での演奏。
特にクラシックの弦楽器を迎えてのライブは初めて。普段は濱田のピアノ、PC,バンドメンバーのギターをセットするだけのステージがほとんどなので、セットだけでも一苦労。しかし、所狭しと3つの弦楽器が並ぶと、ステージが格段に栄える。まだ音も出ていないのに、顔のニヤつきを抑える事ができなかった。

リハーサルでは今まで一番の熱を感じた。弦楽器との初共演。それは、ただ音が3つ増えるということではなく、6つの音を1つの世界に共存させるという事。そして、そこにステージバックにセットされた3枚のスクリーンに映し出される映像を溶け込ませるのだ。
当然、順調には進まない。しかし6人の表現者が何度も音を合わせると、自由に飛び交っていた音達が、ゆっくりと1つの世界に集まり、踊りだすのがわかった。

これが会場を包み込む時、どんな空間を生み出すのか。 リハーサルは、開場10分前まで行われた。

開演5分前。
外は、雨。

会場では、今までに見たことのないお客さんの数。
楽屋では、今までに感じたことのない緊張感。
ふたりの顔。その脇には、山形のライブハウスから送られてきたさくらんぼ。

力を与えてくれている全ての人の期待を胸に。

開演。『forest』と共に入場。二人に送られる大きな拍手。


arp@運命一瞬の静寂から『優しくなりたい』へ。初音。
ヴァイオリン、ビオラ、チェロが音を奏でた瞬間、今まで味わったことのないarpワールドが広がった。そこにピアノ、ギター、そしてあん朱の声が溶け込む。

完璧なarpワールド。だけど、今までよりも力強く、優しい。

arp@運命6人で、『愛をしよう』『Never more』と続き、ボーカル、ピアノ、チェロだけの『夕立』、 『恋煩い』。そして、今回一番 〜運命〜というタイトルテーマに合致している曲、『まぶた』へ。
チェロの静かで深く響く音が、曲の心地よさを倍増させる。

「arpは座って聞いて欲しかったんだ。」と言っていたことがよくわかった。座りながら聞いていると音が身体に深く深く染み込んでくる。


8曲目、『横顔』。
僕は心の中で「何事もないように…」と祈っていた。 5月20日、ライブ『白イ恋人』でのこと。この曲のオープニングで、濱田のPCが原因不明のトラブルを起こした。静かな歌い出しの中に、明らかに違う曲の音が混ざった。
あの日の終演後、ステージ脇でぐったりと座るふたりの姿を見て、僕はかける言葉を見つけられなかった。 ファンの間でもリリースが待ちわびられているこの曲。その分、聞く側の期待は大きく、与える印象も強い。だからこそ。

きっと今日の『横顔』を僕は忘れない。この曲は必ずarpの代表曲になる。

今日最高のムードに包まれながら、次の『ウレシ泣キ』を、ピアノを弾きながら口ずさむ濱田から、僕は目が離せなかった。

最近恒例となっているあん朱の弾き語り。今回は『shiver』。原曲がとても素敵だと話していたこの曲を、あん朱がしっとりと歌い上げる。その姿に身震いを覚えたのは僕だけではないはず。

そして、今回のインストメンタル、『運命』。
超大作。言い切っても過言ではない。
時の流れを思わせる光の映像をバックに、全ての楽器で壮大で力強い音を奏でる。
今までのarpの世界とは全く違う、新しい表情がそこにはあった。

眩しい光の中、『Starlight Stardust』、『キラリ』を最高の表情で6人が奏でる。世界の色が明るく、かろやかになる。そして、あん朱が三浦半島を一人旅したときにつくったという『My love is Here』に続き、名曲『Everything is Beautiful』。
誰かを想える幸せを、生きている尊さを、全身で表現するあん朱にスモークがかかる。
まるで本物の光の妖精のようだった。

「運命のせいにはしません。」
 
『満月』を終え、最後の1曲を残しあん朱は言った。

『Reborn』。生れ変れない。という歌の最後に、
「運命なんて存在しない 私達の未来は私達のもの」
というメッセージがバックスクリーンに流れた。

人に起きる事など、運命と言ってしまえば何でも片がつく。
きっとそうした方がロマンティックだし、何より楽なんだろう。
だけど、もしそうなのだとしたら、運命という物が存在するのなら、
今日をやり直せるのと同じくらい、生きる意味などないのかもしれない。

arp@運命MCで話がでていたように、「今回はあん朱が客席のほうから出てこよう。」とか、そんなどこか1つのショーのようなものにしようという話があった。
しかし、arpを表現するのにサプライズや凝った仕掛けは必要なかった。

「手づくりのものを届けたい。」

その想いは、終演後、スタンディングオベーションとなってふたりに返ってきた。

楽屋には、ふたりの最高の笑顔があった。
ふたりの姿を見て、僕はまた、かける言葉を見つけられなかった。

運命などない。 全ては自分の意志で創られていく。
ふたりの言うことがもし本当なのだとしたら、
あの笑顔も、会場にいた全員の意志が生み出したものなのだろう。

運命が存在するかどうかなど、わかるはずがない。
だけど、今回の奇跡を「なりえるように定められた‘運命’だった。」とは決して思いたくない。

そして、12月3日。
arpは羽になる。

終演後、雨は上がっていた。

text by Mura Jun



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