home-
-News -Live Info. -アープは断然、ライブがいい。 -ただ、ただ、あん朱 -語る -Special Contents-Biography -Discography -Mobile -Fanmail -メルマガ登録-RSSでの購読はこちらから
HOME > アープは断然、ライブがいい。 > Vol.3 : LifePalette 新曲公開リハーサル『崩れ堕ちそうな、アナタへ』
アープは断然、ライブがいい。
Vol.3 : LifePalette 新曲公開リハーサル『崩れ堕ちそうな、アナタへ』

秋という季節に、多くの人が寂しさを感じるという。 僕は、なんとなく感じる秋の切なさが好きだ。
冬は忙しくて、時の流れを感じている余裕もない。だけど、秋は静かで、夜が長く、そのときの流れに身を任せていると、わけもなく切なさや寂しさを感じたりする。そして今年も、秋が来た。

[2006/11/7 LifePalette
崩れ落ちそうな、アナタへ]

@晴れたら空に豆まいて

[公開リハーサル]
1. 金木犀
2. 名前
3. 明日は来るから
4. OVER
5. IRONY
[第二部]
1. まぶた
2. never more
3. 夕立
4. 満月
5. 桜
6. Reborn
7. ウレシ泣キ
encore. 横顔
代官山。東京を代表する高級住宅街の一角に、古都を想わせるライブハウスがある。

「晴れたら空に豆まいて」。

縦に長く広がった空間の中心には座敷、そして赤い塗り傘が広げられ飾ってある。そして、ステージにはグランドピアノが。初めてそれが日本でおかれたバーのような、そんな古きよき時代を想わせる場所だ。なんだか、とてもいい。ここを舞台に、ふたりはどんな姿を見せてくれるのかと、まだリハーサルも始まっていないのに、そんなことを考えていた。

「公開リハーサル」と名づけられた今回のライブ。本編5曲と、第2部として7曲が用意された。当然、本編の5曲は初披露。そしてさらに、本編ではあん朱だけが舞台に昇る。
リハーサル中、「普段緊張しないのに。」と笑いながら話すあん朱。新曲を5曲も独りきりで歌うのだから、緊張して無理もない。
濱田も、第2部で使うグランドピアノと楽曲全体のバランスに対して神経を研ぎ澄ませていた。「どっちにころぶかわからんねん。」という濱田。グランドピアノをライブで使うことなどそうはない。しかし、徹底的に音づくりにこだわる彼の精神がグランドピアノを味方につけることは、そのときからなんとなく予想はできていた。


会場は、限定100枚で販売されたチケットを手に入れたお客さんで埋めつくされた。今回、突然の新曲発表、しかも5曲。「横顔」のリリースを待ち焦がれていただろうファンにとっては、全く予想していなかったサプライズ。嫌でも期待が膨らむはず。


forestが流れはじめる。そして、あん朱がひとりで舞台に現れる。
大きな拍手。そして静寂。 静かに、語りだすように、歌いだす。


「またね またね 手を振った 二度と会えないことは知ってた」

1曲目、「金木犀」 。
あん朱の発する言葉と、濱田が創り出した、静かで、壮大なオケが奏でる失恋のうた。
あまりに悲しく、美しい音たちが、古都の街に広がった。
まるで、映画のクライマックスに自分が入り込んだかのような気がした。
切なくて、かなしくて、でも、すごくきれいな。
このライブのオープニングにもっともふさわしい曲だった。


続いて、「名前」 。
金木犀とは打って変わり、恋真只中の女の子の、好きな人を想ううた。弾むようなピアノの音が、女の子の恋する想いを表現しているような、幸せいっぱいの女の子の想いを、あん朱が微笑みと共に歌い上げる。


曲の主人公から、あん朱が戻ってくる。そして、語りだす。
「歌をうたうことができて、幸せ」と。
秋という季節に、多くの人が寂しさを感じるという。
秋の夜、あん朱も寂しくなるという。
嫌なことを考えて、落ち込んだりするという。
あん朱も例外ではなかった。

気がつくと、彼女は歌っていた。

「倒れてもいい、起き上がるため明日は来る」と。
人に希望を与えるような、そんな力強さをもつオケに、あん朱の人を想う気持ちがのった歌声に、誰もが力をもらったはず。 曲中、相手に「君はどうして」と語りかけているあん朱が、最後に「僕はどうして」と、自分に語りかける。きっと誰もが悩み、苦しむ。そして、君を励ましている僕も変わりない。だからこそ、君に伝えたい想いがある。僕には、そう聞こえた。

三曲目、「明日はくるから」 。
人と自分を勇気付けるうただった。

希望の光を思わせるような照明が、赤く変わり、舞台の空気が変わる。
四曲目「OVER」 。
愛し方、愛され方、信じ方、信じられ方を知らない。激しく苦しみ、迷う人のうた。 感情を剥き出しにし、心の叫びを訴えるあん朱。
この曲を聴いて泣く人が、僕はたくさんいるような気がする。
きっと、誰もが叫びたいだろう。それを代弁するように歌うあん朱。

この曲を聴いて泣いて、泣いたら、歩き出してくれる人がいてくれたらいいなと思う。

そして、公開リハーサル、最終曲。「IRONY」 。
君とじゃなくても恋に落ちた。出逢いは偶然で、大して価値はない。だけど、君を愛することで生きていることを感じる。そんな、とてもとても、愛情に溢れたうた。
そばにいてくれる人への愛情。全身でそれを表現するあん朱。それは、今日ここに集まってくれたファンに向けられたものでもあったはずだった。

公開リハーサル、終了。
終わってみたら、5曲中、3曲が前向きなうた。
にも関らず、ライブ名は「崩れ堕ちそうな、アナタへ」。

大切なものほど、見えなくなる。
大切なものに囲まれていて、僕たちは知らぬ間にそれを見失い、大切だということさえ忘れている。
今日、あん朱が演じた5人の主人公は、一つひとつ、それを思い出させてくれていた気がする。

第2部は代表曲のそろい踏み。
濱田のグランドピアノが力強く響き、百瀬のチェロと絶妙に絡み合い贅沢な空間をうみだす。空間全てを味方につけたarpは、最高のお客さんを前に、最高のステージを演出した。

終演後、楽屋では、やりきった安堵と満足感を浮かばせるふたり。
挑戦だっただろう。常に新しいもの、二人に会いに来てくれる人のために、常に驚きと感動を与えようとするふたりは、常に進化しようとしている。
そして、今回もまた、ふたりは大きくなったような気がする。

会場には余韻を楽しんでいるお客さん。

限定100人、きっともっと多くの人がこの場で同じ時を過ごしたかっただろう。
「IRONY」の前に、あん朱は「そばにいてくれて、ありがとう」と呟いた。
あの「ありがとう」が、みなさんに届くように。

そして、濱田からのメッセージ。
「12月3日に、大切なお知らせがあります。」



text by Mura Jun



<< Vol.2 : Roland presents DESIGN NOTES SCALE.01 |Vol.3 : LifePalette 新曲公開リハーサル『崩れ堕ちそうな、アナタへ』 | Vol.4 : 『月カケル夜の、乙女歌』 >>