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アープは断然、ライブがいい。
Vol.17 ワンマンライブ「零」@渋谷WOMB

― たった一度。何もかも、諦めようと思った。―

会場で配られるアンケートや雑誌に混ざって、濱田の文章を記した紙を見つけた。
ただのA4の紙だ。他のものと何も変わりはしない。

僕はバッグを持っていなかった。だから、その紙を折りたたんでポケットにしまった。

渋谷WOMB。都内一の照明設備を備える、その道では有名なクラブだ。
今日の舞台は、ここ。濱田憧れの地。
セッティング中、その片鱗が見え隠れする。これらが一体何を生みだすのか、照明の知識がない僕にはわからなかったが、きっと彼の中には、今まで膨らませ続けたイメージが、今現実となろうとしている喜びが溢れ出しているのだろう。
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客席から、じっとステージを見つめるあん朱。緊張していた。
思い入れが強ければ強いほど、感情は高ぶるし、緊張も増す。この日を、待ち侘びていた気持ちが表れているのだろう。

サウンドチェック始まる頃。マイク、ピアノ以外に所狭しと並んだ5つの椅子と譜面台。そこに弦楽器を手にした演者が到着した。ストリングスチームだ。今回はヴァイオリン・ビオラ×2、チェロ というarpらしい構成。

ただ、こんなに厚い弦の存在は未だ感じたことはない。



[2008/1/26 ワンマンライブ「零」@渋谷 WOMB]

0.forest
1.優しくなりたい
2.ウレシ泣キ
3.No Eternity
4.愛をしよう
5.桜
6.キラリ
7.YES!
8.あなたに逢えて…(弾き語り)
9.旅立ち(Instrumental)
10.おやすみなさい
11.沈黙と青い空
12.金木犀
13.満月
14.横顔
15.わたしのこえ

Encore-1. Reborn
Encore-2. 光のさすほうへ

初めて立つ場所に、感じたことのない、光と音。

新生arp 第二章  ― 零 ―

物語の先へとつながる、大切な一幕。
その声で、その手で。ページを開こう。


スモークが霧のように漂う会場にforestが流れ出す。
例えそこが体育館でも、野外でも、この音は場所など選ばない。

演者が揃い、あん朱が礼をし。体を起こす。
その時、一瞬だけ感情が顔に表れた。彼女の目の前には、会場を埋め尽くした大勢のファンがいた。

拍手がやみ、静まり返った会場に、ストリングスの五重音が響きだす。
その瞬間、会場に光が降り注いだ。








― 優しくなりたい ―

音が、光と並行して飛んでくる。今まで感じたことのない、大迫力。
その衝撃を消化できぬうちに、次の曲が始まる。

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― ウレシ泣キ ―

あん朱が、本当に嬉しそうな顔をしている。
笑顔から溢れ出る声に、ストリングスの音が優しくの寄り添う。
今までで、一番綺麗な音だった。

「最後まで、ゆっくり楽しんでいってください。」

多くは語らない。なぜなら、次は新曲。


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― No Eternity ―

とても軽やかなラブソング。
ピアノとストリングスがのびやかに響く。
永遠などない。だけど、きっと永遠を祈るうた。
新曲一曲目、とてもいい滑り出しだ。


続いて ― 愛をしよう ―  ― 桜 ― 
そして ― キラリ ―

「ありがとう」

とても気持ちよさそうなあん朱。
アップテンポな曲が続いたからか、ステージから勢いを感じる。
次もアップテンポな曲、そして新曲。

― YES! ―

ストリングスが美しく響き、あん朱のよく通る声がその中を駆け抜ける。
~踏み出したこの一歩が見えないスタートライン~
その一歩を踏み出す勇気がもらえる歌。
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ここで、あん朱を残し、メンバーが舞台を降りる。
ここからは、あん朱の弾き語りの時間。
今回お送りするのは「あなたに逢えて…」
喜び、緊張、不安、全てを指先と声に籠めて。

大きな拍手が、彼女を包んだ。



あん朱と入れ替わり、濱田とストリングスチームが舞台へ。
続いては、濱田のインストメンタル。今回は、Life Pallete -運命- 以来の
ストリングスとの共演。
歩きだす。その時を迎える全ての人へ。

― 旅立ち ―

自分が何かの物語に入り込んだような錯覚を起こす。
5人全員の魂が、きっと全ての人のもとに届いたはず。

あん朱が戻り、続いてはこの曲を「零」ヴァージョンで。

― 沈黙と青い空 ―

今日初めて、あん朱が見せるクールな表情。そして声。
激しさが増し、爽快感がある。

続いて ― 金木犀 ―

ビオラからチェロ、チェロからヴァイオリンへと音を渡す。
その美しさといったら、ない。
「>Redirect」に収録され、曲としてさらに磨きがかれられた。

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物語は、一気に加速する。
今までで、一番強い光を放つ月。満月。
今までで、一番美しい明日のフレーム。横顔。

物語は、最後の段落を迎えた。



息を整えて、あん朱が言葉を紡ぐ。

「ありがとう」

ここ、WOMBで、いつかの目標の地で。濱田、今何を思う。

「>Redirect」はリリースされないはずだった。
ワンマンライブ「君」から7か月。一歩も進めないはずだった。
だけどarpは今、沢山の人に見守られここに立っている。
立たせてもらっている。

今ここに立てていることに。
「>Redirect」を届けられたことに。
ここからまた、歩けることに。

全てに感謝をして。


最終曲    ― わたしのこえ ―

~ わたしはあなたが必要なの ~

とてもいい、ステージだった。

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終演後、ステージ裏。
あん朱はうまく歩けない。
出口には、大勢の人が待っている。その思いだけで足を動かした。

ふたりで、歌を聴いてくれた人全員を見送った。
そして、ふたりと挨拶を交わす人全員が、とてもよい表情をしていた。%E3%81%BF%E3%81%8A%E3%81%8F%E3%82%8A.jpg

「>Redirect」は発売後、かなりの反響を呼んでいる。
次の章では、さて。何が待っているだろうか…。

そして 新生arp 第三章

「光」

水無月の夜に、光、輝く。






― あのときの僕に、今、言葉をかけられるとしたら ―

           ― 辞めるな ― 
         ― 未来は、まだある ―
 


今日のことを、僕も、忘れないと思う。
                                  Mura Jun



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