2月23日、僕は濱田と神戸の街を歩いた。
海から吹く風がやわらかく、2月だというのにとても暖かい。
懐かしそうに幼少期の話をする彼。表情がいつもより穏やかに見える。
きっと誰にでもある、心懐かしく、安らげる場所。
彼にとっては故郷、神戸がそうなのかもしれない。
「>Redirect」リリース記念ライブ関西ツアー、2日目。
今日は濱田の故郷の隣街、姫路をふたりは訪れた。
ふたりが姫路を訪れるのは、今日が初。言ってみれば、完全にアウェーの地。
会場の姫路大津イオン。東京には無いショッピングセンターの大きさに驚きながら、会場を目指す。
休日ということで、買い物に来ている人も多い。
ステージは、素晴らしい位置に用意されていた。
先日のHMV三宮でのライブでは、平日にも関わらず多くの方にその歌声を届けたふたり。
初上陸のこの地。人々はarpの歌に耳を傾けてくれるだろうか。
ふたりがステージに昇る。
すると、この地でずっとarpを応援し続けてくれているファンが、ふたりに拍手を送ってくれていた。
まだ見ぬ人へ。そして、この瞬間を待ってくれていた全ての人々へ。
歌を、届けよう。
― おやすみなさい ―
あん朱の声が響きだすと、周りが一気に静まり、次々と人が足を止める。
「こんにちは、arpです。」
その言葉に応えた拍手は、初めて見て5分と経たない人に贈られたものとは思えなかった。
人が人を呼び、瞬く間にarpは熱気を帯びる。
― 金木犀 ―
その声を聞いた者の視線が、あん朱一点に集中する。
そして、濱田の生みだした音たちが、その場をじっくりと、arpの空気で満たしていく。
続く ― No Eternity ― で完全に自分たちの世界を創り上げたarp。
その中であん朱がしっとりと横顔を魅せる。
何だろう、この雰囲気は。
いつものライブとは、何かが違う。
一番前で、あん朱を見つめる女性が、答えを教えてくれた。
最終曲
― わたしのこえ ―
一人ひとりに語りかけるように歌うあん朱。
気がつけば、arpを囲む人々は数えきれぬ程に。
そして、会場は笑顔に溢れていた。
全力。
出し切ったarpへ。こんなたくさんの人が笑顔で拍手を送っている。
感動せずには、いられなかった。
関西を訪れるのは1年半ぶり。
arpを待つ人は、本人たちが思うより多く、今回、大勢の人がarpを受け入れてくれた。
次はもう、待たせることはできない。
帰り道。
一直線に続く道が、ここまでの歴史を想わせる姫路城を見ながら、
「いつかこの下でライブをしたいね。」と、誰からとなく話し出す。
3月5日。ふたりはデビュー5周年を迎える。
歴史と呼ぶには、まだほど遠い年月だが。
arpは今も、そこに向かって歩み続けている。
まわり道も、寄り道もしたけれど。
この道は、その先に繋がっている。
Mura jun
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