5月27日。原宿。
竹下通りを抜けてほどなくすると、Forever21の行列。
平日だというのに、この地には流行の最先端を行く人達が集まる。
入り時間よりずっと早く着いてしまった僕は、そこに入るために行列を作る人々を眺めていた。
あの建物の中にある、一体何が人々を惹きつけるのだろう。
少し早く、会場の中に入れてもらう。
アストロホールのスタッフが、arpを受け入れる準備をしている。
ここにはまだ、なにもない。
4月30日。ミニアルバム『いっしょ』リリース。
今日は、そのレコ発ライブイベント。敢えてワンマンライブと冠せず、
arpがこの作品に抱く想いを演奏とともに届ける日とした。
あん朱、到着。笑顔だ。嘘のない、笑顔。
ライブ前に、緊迫感あふれる表情を見せなくなった。
自然体でいる。いることができるようになったのだろう。それは、とてもいいことだ。
程なく、本日のパートナー、チェロ百瀬郁子、到着。
arpファンの中にも、百瀬ファンが出来るくらい、彼女の存在は大きい。
濱田、都会の喧騒に負けそうになりながら、現着。
別でワンステージやってきたのではないかと思うくらいの汗。心配してしまう。
曲数が少ないため、リハーサルにも余裕がある。
と思いきや、モニター(演者用のスピーカー)の音が決まらない。
初めて出させてもらう会場では決まって起こる現象だ。
ただ、この"音をつくる"ということで、演者とエンジニアの信頼関係も共につくられる。
そこで築かれる、一種の絆のようなものは、とても美しく思える。
午後6時30分。平日の夜だというのに、続々と集まってくれるファン達。
僕は本番に向けてサウンドチェックにステージへ昇る。
スクリーンが降ろされているので会場の雰囲気がわからなかったが、
それが見切れた所に、ある時期からのarpへの協力者の顔。
優しく頷いてくれ、無性に心強くなる。
舞台袖に3人が集まり、あの何もなかった空間に、全てが揃った。
僕らにとって、今、世界一輝く場所。
「いっしょ」に。
スクリーンに明かりが灯り、「きみは世界一」の文字。
今日は、このプロモーションビデオからのスタート。
飾らない、28歳の女性。とても心暖まる映像だ。
スクリーンが上がりだすと共に、疾走感のあるイントロ。
演奏する濱田、百瀬、両手を広げ、笑顔のあん朱。
演奏は-ここから-Live ver.で、スタート。
アップテンポで飛ばす二人を、しっかりと百瀬が支える。
チェロの安心感がとても心地よい。
歌中の主人公の、止まらない気持ち。少しだけ切なく聴こえたりもする。
続いて、-YES- 3rdアルバムで、arpに新境地を開いた一曲。
会場の全体が、この時点で一体化していくことを肌で感じる。
「盛り上がっていこう!」
少し大人っぽくなったあん朱の一声で、途切れず流れていたのは、-Starligth Stardust-
3曲一気に駆け抜けた後、なんだかとても楽しい気持ちになった。
ライブを見ていて、こんな気持ちになるのは初めての事だ。
一息ついて、濱田がマイクを手に。
挨拶も程々に、作品について語る。と思いきや、世間話から始まり一向に話は進まず、
ただただ話し続け、お気に入りの歌を聞かせ、終わる。
完全に、彼のペースだ。
笑い続けた会場、ステージの3人。
イヤモニを着けてボーカリストの顔になる、あん朱。
-ねがい-
今回初めて、作詞家との共作を経験。この曲は松本氏が作詞を担当した歌。
他人の詞を歌うという初体験。
だが、さすがは大宮。しっかりと自分のものとし、歌いあげる。
さらに、-この空の下で-
この世界にありふれている言葉が、ただただ並ぶ歌詞。
そこから、あなたは何を感じるだろうか。
続いては、ライブ開催直前に濱田が思いついた、キーボードプレゼントコーナー。
当選者、川口さんは来年-わたしのこえ-の弾き語りでarpのステージに立つことが決定。
是非、我々の思い出の詰まったキーボードで、練習に励んで頂きたい。
本編は『>Redirect』より、-No Eternity-で再開。
今日は、とにかく幸せいっぱいのセットリスト。
いぬのえいが-キラリ-と続く。
ここでまた、スクリーンが降りる。
波の音と共に映し出されたのは-船の銀河-のプロモーションビデオ。
荒れる浜辺で、力強く訴えるあん朱の表情に、胸を打たれる。
ただ、今回の2作品にも、濱田の姿はない。
スクリーンが上がり、ふたりがステージへ。
ミニアルバム『いっしょ』の制作秘話を語るコーナーへ。
ただし、話していたらキリがないということで、1コーラス流れ終わるまでをタイムリミットとする。
どれだけのことを語れるかという、ゲームだ。
言えても言えなくても、それでもライブは進む。
残すは、あと2曲。
-船の銀河-
このアルバムで、一番arpらしい曲。自他共に認める、今濱田が最も好きな曲。
3拍子に乗せる情熱。しかと、受け止めてください。
このミニアルバム『いっしょ』という名に籠められた想い。
名前の通り、誰もがいっしょだということ。
毎日生きる中、辛い思いをして、悲しい思いをして。時には嬉しいこともあり。
きっとみんな、日々同じような気持ちになり、同じような境遇に立たされたりしているのに。
それが他人の出来事ならそう思えるのに。
私たちは、少なくとも僕は、自分がその立場に立つと、たちまちそれを忘れてしまう。
もし、あん朱がこの作品で歌うように、「きみ」は世界一なのだとしたら。
「きみ」も、「きみ」の「きみ」も、そのまた「きみ」も、世界一なのだろう。
大袈裟だと思うかもしれない。
だけどarpは、声を大にして、音まで付けて、それを皆さんに伝える。
伝えるために、この曲を最後に残した。
最終曲、-きみは世界一-
あなたにとっての世界一がいて、その相手にとっても、あなたが世界一であるよう。
そうやって、沢山の指が結ばれていったら。
いつか、儚い願いも叶うかもしれない。
Mura Jun
<< Vol.23 arpデビュー5周年企画-53本の放射線- |Vol.24 ミニアルバム『いっしょ』リリース記念ライブイベント | Vol.25 arp ファイナルライブ -完全 - >>




