
◇2011年1月2日 午後4時から一挙7時間放送◇
テレビ東京新春ワイド時代劇『二人の軍師』~秀吉に天下を獲らせた男たち~
主演 高橋克典/山本耕史/西田敏行
嶋津義忠の小説「竹中半兵衛と黒田官兵衛 二人の軍師」をドラマ化。豊臣秀吉の天下取りに「軍師」として携わった竹中と黒田を描く物語である。なお、西田敏行はNHKの大河ドラマ『おんな太閤記(1981年)』以来、30年ぶりに豊臣(羽柴)秀吉を演じる。…Wikipediaより
-制作秘話を、ここオフィシャルサイトにて公開します-
御無沙汰しております。
濱田です。
皆さん、いかがお過ごしでしょうか。
arpが解散してから9ヶ月が過ぎました。
正直、まだあんまり実感がありません。
毎日ほとんどあの頃と同じことをやっているからでしょうね。
一日の始まりにメールとTwitterのチェックをし、Cubaseを起動する。
この辺に変化がなければ、大きな実感ってない気がします。
ただ。音楽家としては、かなり大きな出来事がありました。
もう、村潤からのお知らせで御存知のことかと思いますが、テレビ東京新春ワイド時代劇の音楽をやらせてもらうことになったことです。
これはえらいことですよ。
テレビ東京で毎年すんごく長い戦国時代劇をやってるのは勿論知ってました。こういう音楽を作る人ってどういう人なんだろうなぁと思ってましたけど…僕ですか??
でもって、劇伴(テレビドラマや映画の音楽のこと)をやるのは僕の目標でしたけど、いきなり7時間ですか…!?
あと、ホントのオーケストラって…僕、音大出てないし、先生の弟子についたことないし、やり方わかんないんですけど。。。
なんてことは皆にひた隠しにして、一人でびびってました。
だって、やりたいって言ったのは僕ですから。
こういうお仕事を僕みたいな実績のない人間がやるってことは、コンペに応募したからでして。やりたいって思って、デモを作って送ったのは僕なわけで。不安そうな顔をしているわけにはいきません。大抜擢をしてくれた人たちのために。
でも、初期の打ち合わせで「初めてってわけじゃないですよね?」って言われたときは、「もちろん」って真っ赤な嘘をつきました。すみません、阿部さん…。
だけど、もう終わりましたから。
全部、録音終わりましたから。
そして、会心の出来ですから。
譜面の書き方をいちいちインターネットで調べていたことをバラしても、誰かがぞっとして青ざめるだけ。
でもね、ちょっと不思議に思ったりするんです。
どうして僕にやれたんだろう。
オーケストラ作家の専門家から見ても、不思議なことらしくて。
小学生のときの音楽の授業で、カセットデッキで演奏を再生しながら、その音がどういう楽器で弾かれたものかを学ぶ機会があったのを思い出した。あのとき、ちゃんとは初めて聞く音ばかりなのに、全部、先生の言葉の前に楽器の名前がわかったんだよなぁ。なんでかなぁって思ったこと、思い出し、前世ってちょっとあるのかもな。なんて。
もう一つ、不思議なことついでに。
音楽をイメージするために、主人公「黒田官兵衛」の足跡を辿ろうと、あまり詳しくない戦国の歴史について調べた。長い間、姫路にいた人なのね。姫路だったら実家からけっこう近いじゃないかと。実際行ってみて現地の方に案内してもらった。そしたら「最近、官兵衛のお父さんのお墓が見つかったんですよ」と言うのでお参りに行ったら、目と鼻の先に、うちの墓があった。おまけにその日は官兵衛のお父さんの命日。なーんか不思議ですよね。
あと、こないだ除籍謄本というのを役所でとったら、少なくとも江戸時代は武家だったことがわかった。…ってことは、俺のずーっと昔の爺ちゃんは、黒田官兵衛を知ってたことはまず間違いない。「殿」なんて言ってたんでしょう。なんとなくあの世から「たのむぜ」なんて言われてる気がして可笑しかった。
実際にドラマの制作会社のプロデューサと初顔合わせをしたとき、ちょっと音楽業界ではいない感じの、これぞって大物感がある人だった。
この人が、僕にやらせるって決めたのか。
そう思うと、絶対にこの人にだけは後悔させたくないなと思った。
何度か叱られたり、やり直させられたりすることは覚悟だったけど、そういうことは一度もなかった。
「おまえのやりたいようにやってみろ」そんな感じで後ろで微笑んでくれているような人だった。
京都の撮影所にも何度か足を運ばせてもらって。
監督も、本当に懐の深い人だった。
「若い人はいいねぇ」なんて。今更、若いなんて言われるとは思わなかったけど。
でも、実際、松竹や東映の撮影所にいる人たちは御年配の方がたくさんおられて。
この世界に来たら、まだまだひよっ子なんだなぁって感じが妙に嬉しくて。最近は、どの現場も自分より年下ばっかりだったもので。
基本的に音楽はどんどん勝手に作っていった。
監督もスタッフの方がたも撮影に専念しているし、ほんと脚本のイメージだけでどんどん。
実際、そうでないと間に合わなくて。
話が決まったのは9月末。レコーディングは10月30日。最初の打ち合わせが10月初め。最終打ち合わせが10月後半。初めにこれだけは決まっていたことだから。これだと待っていたら、最善は尽くせない。
作っては送って。
知らなかったんだけど、京都で、全員集まって試聴会があったりしたんだって。その現場、こわ~っっ。
でも、いつも「いいじゃないか」という言葉が戻ってきて。
みんなが喜んでくれてるのがわかった。
それを燃料にして、最速で突っ走り続けた。
いよいよ明日が録音の日という夜。
夢を見た。
1月2日、テレビを見ている。
『二人の軍師』だ。
ばばーんと始まった。
…あれ?
俺の音楽じゃない!
って夢。
辞書みたいに分厚くなった譜面と、書き出しに何日もかかったトラックデータが詰まったハードディスクを持って、スタジオに向かった。
現場には、arpのときと同じように三上さんの笑顔があって。
演奏のリーダーは、馴染みの門脇君にやってもらった。
昔の仲間が、先回りしててくれる有難さ。
BMGのときのアーティスト仲間でわずかに現場に残っている門脇君と僕。本当に彼と出会っておけてよかった。
不安の塊だった譜面に大した問題はなく、J-POPとは比較にならないスピードでがんがん録音は進む。最終的に80曲足らずを2日間で落とさなくちゃならない。ぼんやりしたり、立ち止まったりする猶予は一瞬たりとも許されない。
とは言え、実際、僕はほとんど眺めているだけだった。
一流の演奏家たち、一流のエンジニア、一流のアシスタントがいて。一流の音が瞬く間に録れていく。もう、ただただ圧巻。
この場所にいつづけるのは、生半可なことじゃないね。
先のことを考えるのはよそう。
全部の作業が終わって。
制作会社の方が言ってくれた言葉。
「現時点で映像の3倍はいってます」
お世辞かもしれないし、もちろん映像だってきっちり3倍になって仕上がってくるにしても。
認めてもらえたんだなという気がした。
とにかく、ちゃんとやれたんだと思った。
僕が今回、この音楽を作らせてもらえるということになったときに決めたことは。
“大先生には作れない音を作る”
ということだった。
それが、大抜擢してくれた人たちへの恩返しになる。
だけど、もう一つ。
“大先生のやれていることは、やんなくちゃならない”
とも思った。
細かい部分はともかく、聞いた感じとして、しょぼかったり、拙いんじゃ話しにならない。
それは、なんとかなったなと思った。
“大先生には作れない音を作る”
それは今もって達成できたかどうかはわからない。
テーマは決まってた。
歌を作ろうということ。
僕が知っている劇伴の多くは、楽器メロで出来ていたから。バイオリンのメロディ、トランペットのメロディ、ピアノのメロディ。
楽器の扱いで先生達や音大卒の人に勝てるみこみはない。
だけど歌なら僕もたくさん書いてきた。1000曲は書いた。
僕が大好きなジョンウィリアムズは、劇伴を歌メロで書いていた。
ここなら戦えると思った。
さて。
ほんとにそうなっているか。
それは聞いてくれた人、一人一人に委ねることだから。
そうなってくれているといいなぁ。
俺の音になっているといいなぁ。
★ここからは、濱田が2010に携わった作品についてコメントしています
◆斎藤工『手と手』(ブルーベアハウス)

濱田貴司が「斎藤工」をイメージして作ったメロディーに
自分が、自分を支えて下さっている「アナタ」に向けての言葉(キモチ)を丁寧に乗せた曲です。
@作・編曲・プロデュース
そうだ。この曲の配信スタートから2010年が始まったんだ。
僕が知る中で一番の男前。そして、あったかい男。
僕の中で彼との出会いは特別です。彼がきっかけになって始まっていることがいくつもある。
曲のことを言えば。
作詞家顔負けの素晴らしい言葉。そして、驚きの歌唱力。
彼は、歌一本っていっても、必要とされる人だなと思った。
ま、すでに俳優としていけちゃってますけど。
◆杉本有美『ハルコイ』(ポニーキャニオン)

人気急上昇グラビア・アイドル杉本有美。
自身がアシスタントMCを務める音楽情報番組「ミュージャック」(関西テレビ/BSフジ)発の
CDデビュー・プロジェクト!
@C/W『キラキラ』編曲・サウンドプロデュース
アイドルのお仕事は初めてだったので、arpで積み重ねてきたことが通用するのか不安だったですけ ど、終わってみればまるで同じことだったので自信がつきました。これならやっていけるかもと。
選曲から、ディレクションまでたくさんの部分をやらせてもらったので思い出深いです。
杉本さんも限られた時間の中でよく頑張ってくれた。
でも、あん朱と比較してはいけません。グラビアアイドルが本道の方なんですから。それは。
◆秋川雅史『ファンタジスタ~翼をください~』
M6『君に告げてよ ~Dicitencello Vuie~』(テイチク)

テノール歌手として、進化と挑戦を続ける秋川雅史。
数々の名曲とのコラボレーションで新たな息吹を注ぎ込みます。
@オーケストラプログラミング
このお仕事をやらせてもらっていたことが、『二人の軍師』にどれだけ役にたったことか…。
秋川さんの下ネタっていうのが新鮮で大いに快感でした。
◆ナノスクエアプロデュース公演『"P"s』

脚本演出 合馬百香(劇団め組)
出演 高杉瑞穂/早田剛/郷本直也/仲原裕之(Studio Life)/桑野晃輔/曽世 海司(Studio
Life)
ストーリー:
昭和二十二年夏、東南アジア某刑務所。
その一画には、戦犯死刑囚を収容するPunishment Hall、通称Pホールがあった。
死刑囚達は、このPホールに隔離され、刑執行を前に比較的穏やかな日々を送っていた。
中庭で本を読む者、静かに空を見詰める者、ゆったりと会話を交わす者、ただ散策する者。
しかし、その胸には、囚人(Prisoner)を表すPの縫取り。一見穏やかな時間の果てには死が待っており、心中を覗けば、それぞれに"戦犯"である自分の身の上を考えざるを得なかった。
いつ訪れるか知れぬ刑執行の日を待っていた彼らの世話をしていた、臨時教誨師は禁止されている死刑囚の遺書を日本に持ち帰る事を決意する。死刑囚達と心を通わせながら、杜撰な裁判で若い命を奪われる死刑囚達の、人間としての本心を遺族の元へ届けようと考えたのだ。遺書をしたためながら、彼らの心も少しずつ命の意味を見出し始める。
@音楽プロデュース・作・編曲
芝居の音楽って僕のモノ作りのルーツの中で一番最初にあるものなんですよね。
去年、『乱』という舞台の音楽をさせてもらった縁でやらせてもらいました。
いい役者さんが揃ってたし、物語があまりに深い内容だったので、音楽はシンプルに優しく寄り添う
ことに決めて。
ピアノと薄い弦だけで作りました。
DVDが発売されているので、こういうテーマがピンと来た方はどうぞ。。。
◆劇団K助 公演『PINK』

脚本演出 金沢知樹
出演 Kいち/斉藤誠人/サコイ/春海四方/福山聖二/松野太紀/森本亮治/山本匠馬/相原美奈子/兎本有紀/広澤草/皆口裕子/渡辺奈緒子/山口芙未子
ストーリー:
アパートに流れる怖い噂、隠された秘密。
全ての真実を知るのはピンクの電話と・・・。
過去と現在が行き来する、切なくも暖かい物語。
@音楽プロデュース・作・編曲
天才、金沢知樹の脚本に音楽をつけさせてもらえるだけで僕は幸せでした。
そんな気持ちに臨んだのだけど。またもやド肝を抜かれる素晴らしいお話で。
複雑に絡んだ謎が、後半解かれていく妙技たるや。もう。
こちらもDVDになってます。面白いです。おすすめ。
◆資生堂『MAQuillAGE』プロモーションビデオ
◆ソニー『BRAVIA』プロモーションビデオ
◆集英社『MORE』付録DVD
◆パナソニック『セットトップボックスTZ-DCH』CM
◆MST財団法人材料科学技術振興財団 イメージビデオ
◆レベルファイブ 新作発表会 オープニング
◆中外製薬『ビタミンDの不思議な世界』
@音楽プロデュース・作・編曲
企業様のPRビデオやCM・イベントの音楽作りというのは、多くの場合、持っている引き出しの量で勝負が決まると思う。
arpは、常に今までにやったことのない感じで次の作品を作るっていうスタンスだったから、おかげでずいぶん鍛えられた。
やってきたのがバンドで、ドラム・ベース・ギターとかって決まった世界だったらこうはいかなかったでしょうね。
当時はしんどくてたまらなかったけど。
御褒美をもらもっている感じで、さくさく作ってます。
◆MJ Acoustic Covers(渡辺音楽出版)

@ラスト曲 Alina『You Are Not Alone』ストリングス編曲・プログラミング
英語は中一で落ちこぼれた僕が、まさかアメリカの人と曲を作ることになるなんてね。
一切、直接のコンタクトがない共同作業だったので、それだけ気持ちをしっかり込めた。
ただ、求められていたのが弦カル(バイオリン2名・ビオラ・チェロの計4名)のコンパクトなサウンドかつ、コンピュータで完結させなくちゃならなかったので、そういうのって実はすごく難易度が高いんです。大編成ストリングスのほうがコンピュータは得意で。蓄積したストリングス打ち込みテクニック大放出でした。
終わった後にAlinaさん御本人サイドから「ロスでの活動に興味はないか」とメールが届き。
何度も言いますが、英語は中一で落ちこぼれた僕なんで。
向こうの人に伝わったということが何より感激でした。
◆長谷川明子『I Can Fly』(ジェネオン)

話題のPSP専用ソフト『クリミナルガールズ』オープニング&エンディングテーマを収録!オープニングテーマ「I Can Fly」は『世界樹の迷宮』『イース』『アクトレイザー』など
の作曲者、古代祐三が担当! エンディングテーマ「On Our Way」は『シュタインズゲート』や『メモリーズオフ』などの作曲者、阿保 剛が担当! さらにカップリングとして、作曲者、濱田貴司による新曲「いやだよ 好きだよ」を収録!
@C/W『いやだよ 好きだよ』作詞・曲・編曲
この曲はね~。知ってる人は知ってると思うけど。ずいぶん昔に書いた曲で。
デビュー前のarpの曲です。
特に事件なのは、僕の歌詞が世に出たということ。
大切にとっておいたんだけど、とうとう出ちゃったなぁという感じ。
長谷川さんも本当に想像以上に頑張ってくれて。
でも、あん朱と比較してはいけません。声優が本道の方なんですから。それは。
◆ソニー『3D ハイビジョン旭山動物園』

@音楽プロデュース・作・編曲』
去年に引き続きやらせてもらいました。
確か12月の中旬からどっかでやるんですよ、今年は。これ。去年は銀座でやってたけど、今回はどこなんだろ。
旭山動物園を3D映像で体感するっていうイベント企画なんですけどね。
ディレクターがとんでもなく壮大な音楽を要求してくれちゃったので、得意な僕は、えーいとやっちゃってます。
お子さんと近くに寄られた際なんかは、どうぞ。近くって、場所はどこやねんってね。
◆劇団K助 公演『ゼロイチ』

脚本演出 金沢知樹
出演 大竹浩一/Kいち/斉藤誠人/相原美奈子/タカギマコト/谷+1+。/寺坂尚呂己/富田翔/二宮敦/堀内英二/大友さゆり/坂井優貴子/瀬戸早妃/藤原珠恵
ストーリー:
想像してください。
あなたが消費した数字がすべて分かるなら
そのことを知ってみたくはありませんか?
その中にもし、0の数字があったとしたら。
あなたはそれを知りたくありませんか?
あなたが知らない0。
その0が1になったとき。
物語がゆっくり動き出す。
12/9から恵比寿での公演です。
金沢さんが、また頼んでくれた。
脚本読ませてもらったけど。おもろ~!!やっぱこの人、天才だなぁ。脚本でこんなに笑ったのも、じんわりきたのも初めてだ。
たぶん今、チケット発売中ですよ。
すぐ売り切れちゃうと思うので、興味のある方はすぐどうぞ~!⇒ https://ticket.corich.jp/apply/24496/
で、arp解散のときに言っていたバンドの話ですが。
いろいろあって一度は振り出しに戻ったりしましたが。
先月、やっとメンバーが決まりました。
今は、いろいろと大事なことを決めなおしてます。
来年はスタートできるといいな。
ただ、ちょっと変わった活動にしようと思ってまして。
なかなかみんなと会う理由にはできないかも。。。
『二人の軍師』ライブとかできたらいいのに…あんなにいっぱい曲作ったんだから。でも、そしたらオーケストラか。。。うーん。。
すでに始まっている話もいくつかあって。
来年は早々に自分自身のオフィシャルサイトを作って、いろいろ発信できればいいなぁと思っております!
そうそうあん朱は元気にしてますよ。新しい仕事で頑張っている様子。あいつが会社勤めかぁ。絶対無理かと本人も言っていたけれど、意外とやるじゃないか。
とにかくどんなきっかけでもいいから、みんなでそう遠くないうちにお会いしたいですね。
それを目標に頑張ります。
Twitterでは一日一度は何か言うことにしてます。フォローしてやってください。
では、また!!
濱田貴司 2010.12.1
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